総合研究センター(遺伝子実験施設)では、学長裁量経費の補助を受け次世代DNAシークエンサーRoche GS Juniorを導入し、運用を開始しました。本装置はRoche GS FLXのパーソナルユース版です。次世代シークエンサーはlong readとshort readに大別されますが、今回導入したGS Juniorはlong readタイプで500 bp程度までの配列を読むことができます。以下に性能を簡単に記しますが、上位機種と異なり1ランあたりのリード数を増減することはできません。また、short readの機種や上位機種に比べるとリード数が少なく、ヒトゲノムなどの大きなゲノムの解析には適していません。
 

 リード長 : 平均 350 bp〜400 bp、最頻値 500 bp
 リード数 : 10万リード /ラン(平均)
 トータル : 35 Mbp /ラン(平均)



主な適用例

 主な適用例としまして、下記のような事例が挙げられます。現時点ではpaired-end sequencingには対応していません。詳細についてはお問い合わせください。

・ 微生物(細菌、ウイルス、カビ)など、比較的ゲノムサイズの小さい生物のde novoドラフトゲノムシークエンス(比較ゲノムを含む)
・ BACやYAC、フォスミド、コスミドなどのクローン化断片のシークエンス
・ ホールゲノムやキャプチャーしたターゲット領域のリシークエンス(ゲノムサイズの大きい生物でも可能)
・ メタゲノム解析
・ アンプリコン(PCR産物)のクローナルシークエンス(SNPs、ribosomal RNA)
・ 遺伝子発現解析(mRNA、cDNA)

 

解析方法、解析料金について

 調製した試料(ゲノムDNA、クローン化DNA、アンプリコン(PCR産物)、cDNA、mRNAなど)を学内便にて送付していただき、遺伝子実験施設でシークエンス解析後にデータをDVD等でお返しします。必要なDNA量は、ゲノムDNAおよびクローン化DNAは1μg、PCR産物は100 ng、RNAは200 ng以上です。RNAをcDNAに逆転写してあるサンプルも解析できますが、その場合には1μg必要となります。
 なお、現段階において遺伝子実験施設では、バイオインフォマティクス解析を行う体制ができておりません。結果の解析につきましては、装置に付属の解析ソフトを使用して、アセンブル、ゲノムへの貼り付け、変異部位の検索を行うことが可能ですが、それ以上の解析につきましては各自で行っていただくか、外部の解析会社に外注していただきたいと思います。なお、フリーウェアを使用して解析結果を閲覧していただく以外に、装置付属の解析ソフト3種(GS de novo Assembler、GS Reference Mapper、GS Amplicon Variant Analyzer)を使用して頂くことも可能ですが、その場合にはLinux環境が必要となります。

  GS Juniorによるシークエンス解析は、次に述べる3つの行程からなります。それぞれに対応したキットが発売されており、それを使用することになります。基本的には1解析にそれぞれ1キットを使用しますので、必要なキットを遺伝子実験施設で購入し、その代金の支払いをお願いすることになります。この他にDNAの純度検定に使用するAgilent社のバイオアナライザーのDNAチップ、装置の維持管理に必要な経費を受益者負担として負担していただきます。これらは解析の基本料金として別途請求させていただきます。

(1) DNAライブラリーの作製 (アンプリコン解析の場合は不要)
 試料DNAの断片化とアダプターのライゲーションを行います(アンプリコン解析の場合は不要ですが、プライマーにアダプター配列の付加が必要です)。バーコード配列を用いて(別料金)、複数のDNAサンプルを扱うことも可能です。

(2) エマルジョン(emPCR)
 1つのビーズに1分子のDNAを固定化してPCRにより増幅を行う。

(3) シークエンシング
 調製したビーズを1つずつPico Titer Plate上のウェルに充填してシークエンス反応を行う。

必要となるキット(アプリケーション別)
工 程
基本料金
(1)
(2)
(3)
備 考

使用するキット

バイオアナライザー消耗品など

Rapid Library Preparation kit
(12ライブラリ分)

emPCR kit

Pico Titer Plate kit

Sequencing kit

価 格
\15,000/ラン

\99,000
→ \8,000/ラン

\30,000/ラン
\26,300/ラン
\57,000/ラン
アプリケーション
ゲノムDNA
バーコード(MID)付加の場合、費用別途
アンプリコン
×
プライマーにアダプター配列の付加必要 
mRNA
cDNA合成の費用(\20,000)は 別途


 (2)のemPCRにおいて通常は複数ラン分(1〜4回分)のビーズが調製できます。必要に応じて複数ランのシークエンシングを行うことも可能ですが、その際にはPico Titer Plate kitとSequencing kitがラン回数に応じて必要となりますので解析料金も増えます。(2)〜(3)の工程にかかる消耗品(emPCR kit、Pico Titer Plate kit、Sequencing kit)につきましては、請求書をお回ししますので支払いをお願いします。
 ゲノムDNA解析、mRNA解析ではRapid Library Preparation kitを使用します。このキットは12回分が購入単位となっていますので、遺伝子実験施設で購入し、1回分にあたる\8,000を基本料金に加算して請求します。mRNAの場合はRNAを断片化したのち逆転写するため、その分の料金が別途加算されます。なお、基本料金以外の価格はいずれも定価ですので、実際にはこれより安価となります。

 学内の方で解析を希望される場合には、sequence@kochi-u.ac.jpまでメールして頂くか、大西(内線:5213)もしくは加藤(内線:5108)までご連絡ください。また、解析を依頼をされる場合には、下記の利用規約に同意いただいたものとさせていただきますので、ご一読下さい。


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